再生医療現場の実情

iPS細胞、ES細胞を含め“再生医療”はメディアでも常に注目されています。もちろん、再生医療は最先端の医療技術であることは間違いありません。しかし最先端の医療のすべてが正しい!安全!効果的!とは言い切れません。それは「最先端=経験・経過が短い、治療実績が少ない」からです。無責任に良いことだけを報道するメディアはあてにならず、見えないところではさまざまな問題を抱えていることも非常に多いのです。
そして、常にその被害に遭うのは治療を受ける患者さん側。特に日本の医療は、医薬品については厳格なガイドラインがある一方で、治療技術的な分野では法整備が追いつかず、医師免許さえあれば誰でも簡単に始めることができる現状があります。現実に医師免許を取得し、研修医が終わってすぐに美容クリニックや再生医療のクリニックで治療を実施する医師も少なくありません。臨床経験が浅い医師ほど恐ろしいものです。
特に自由診療における「再生医療」については、医学的根拠があるからという浅はかな理由で治療を提供しているクリニックが後を絶ちません。多くの人は「医学的根拠=治療効果」と考えますが、医学的根拠とは「あくまで理論上は」ということであり、実質的な効果とは全くの別問題です。さらに健康被害を被った事実は正しくインフォメーションされることがないのも実情です。
再生医療は本当に素晴らしい治療です。しかし、それを実施する医師、提供する医療機関側の実績や経験、しっかりと正しい治療が適正に行われているということが前提でのお話です。メディアやネット、SNSの情報を信じることは非常に危険であるということを忘れないで下さい。再生医療の現場というのは大きなリスクを潜んでいるのも現実なのです。